「俺さんにお弁当作るから遊びに来て?」
彼女はソープ嬢で、私は彼女を指名していたお客さん。つまり、お金のやり取りが前提の関係でしかなかったのに、彼女は私の為にお弁当を作ってあげるというのだ。
お金ありきの関係だったけど私は嬉しくなって、ツイッター(Xではなく)のダイレクトメッセージで姫予約を入れたのだった。
彼女の名前は「さくら」。私が行きつけにしていたソープランド店に新人で入店してきた女の子だった。
「さくら」の写真を見た時、ふと、以前お付き合いをしていた人妻「なずな」の瞳を思い出した。どことなく似ているなと感じた。なずなは私より1つ下。
人妻「なずな」の面影を追って、私は「さくら」を指名した
「さくら」のプロフィールを見るとなずなよりも15歳以上も年下で、彼女であるはずがないのだが、もしかすると年齢をごまかしているのでは?と気になってしまい、本人なのか別人なのかを確認するために「さくら」を指名することにした。
ソープランドの待合室で「さくら」のプロフィールに釘付けの私。もしもなずなだったらと思うと嬉しいけれど、他の男にも抱かれているのかと思うと寂しくもあり、複雑な心境だったのを覚えている。
お店のボーイさんが「番号札~番のお客様、お待たせしました。階段を上がったところに居ますのでごゆるりとどうぞ」と案内され、ついに「さくら」との初顔合わせの時がやって来た。
私は階段をトントントンと急ぐように駆け上がった。
すると階段の上では「さくら」が笑顔で待ってくれていた。なずなではなかった。少しほっ安心とした自分がいた。私の記憶に残っていたなずなの幻影が、「さくら」との出会いに導いてくれた瞬間だった。
「さくら」の髪型はサラサラのロングヘアで、丸顔、二重瞼で笑顔がとても可愛らしく、女性らしい丸みを帯びた体型でした。
彼女とハグをするとドレスの上からでしたが、ふにゃ~っとした彼女の肌の柔らかさと温もりが背中に回した腕の内側と胸とお腹に伝わってきました。
「さくら」は、「指名してくれてありがとう」と笑顔で出迎えてくれたと思うのだが、当時の記憶が薄れつつあり、彼女との初顔合わせの瞬間を詳しく覚えていない。
私は次第に、“ソープ嬢”ではなく一人の女性として彼女を見るようになった
印象に残っているのは、彼女のドレスを脱がし、ブラもショーツも脱がせ、何も身にまとっていない姿でベッドにあおむけで寝かしつけた時のことだ。
私は「さくら」の乳房を舐め、お腹を舐め、割れ目を舐め、彼女の身体に触れているうちに、私は次第に性的なサービスを提供しているソープ嬢ではなく、一人の女性として彼女を見始めていた。
さくらの声が漏れる。
「あぁ・・・どうしてそんなに優しいの・・・?」
さくらは私の愛撫に優しさを感じたらしく目を潤ませていたように見えた。
ソープ嬢とはいえ一人の女性だ。彼女の問いに「女に優しくするのは当たり前だろ?それに二人で一緒にするのがセックスだと思う」と言うと彼女は何も返事をしなかった。
セックスはどちらかと言えば下手と思ってる私だが、さくらから優しいと言ってもらえたことは嬉しかった。
そして、さくらの存在を最も明確に私の記憶に刻み込んだのが彼女が持つ身体的特徴だった。それは、帝王切開の手術痕だ。
さくらは、お母さんなんだな・・・と思った。いや、手術痕が強制的に私の脳裏にその言葉を刻み込んできたのだ。
この傷痕を見て、さくらは夫と別れ、女手一つで子供たちを養っているんだなと理解してしまった。決して彼女から聞き出したわけではない。だが、そう思ってしまったのだ。
私は彼女に刻まれた新しい生命が誕生した証を見たことで今後も彼女を指名しようという思いになった。
一人の女性の魅力に惹かれたというよりも、自分の身体を売ってでも子を育て、泥水をすすってでも生き延びようとする、母としての力強さに私は引き込まれ魅入られてしまったのだ。
傲慢かもしれないが、私は何とかさくらを支えてあげられないか?と思ってしまったのだ。だから指名することが彼女の助けになるのなら・・・そうした思いで私は彼女を今後も指名しようと思ったのだ。
私は「さくら」という沼にハマっていった
その後、私は何度もさくらを指名した。
さくらと私しかいない密室の中で、温泉に行ったとか、あのお店の料理が美味しかったとか、他愛ない会話が楽しかった。そして何より、さくらの身体に唾液を塗りたくって一つに繋がり合うという男女の営みがとても好きだった。
さくらとの男女の営みで面白いエピソードがある。
私はその当時、さくら以外にも指名していたソープ嬢が居た。その彼女は部屋持ちソープ嬢で彼女を指名すると常にその部屋でプレイすることになる。
だが、その彼女が休みの時にさくらが出勤していて、たまたまその部屋持ち嬢の部屋でさくらと遊ぶことになったのだ。
この時はなんだか、同棲してる彼女の家にさくらを連れ込んで、その彼女のベッドの上で男女の営みをしているような感覚に陥り、いつも以上に興奮し、さくらの身体中を徹底的に舐めまわした。
私はさくらとの男女の営みにハマった。さくらからしてみれば、いいお客さんだったと思う。
そうした理由があるからか、さくらは自分が家族と旅行へ出掛けた時に私の為にちょっとしたお土産を買って来てくれたことがあった。
家族水入らずの時間に私のことを思い出してお土産を買ってくれたという事が嬉しかった。もちろん、これは私を喜ばせるための営業にすぎない。だが、例えそうだとしても、その時に私の顔を思い浮かべてくれたのがたまらなく嬉しかった。
さくらは本当に私を喜ばせるのが上手だった。お土産で私の気持ちを鷲掴みにすると、今度はツイッターのダイレクトメッセージでこんなメッセージを送って来た。
ソープ嬢「さくら」が、お弁当を作ってくれた
「俺さんにお弁当作るから遊びに来て?」
私はさくらからのメッセージを受取った時、信じられない気持ちだった。自分の人生で、母以外の女性からお弁当を作ってもらえる日が来るなんて想像もしてなかった。
そしてさくらは「俺さんはどんな料理が好きなのかな?食べたい料理を教えてね!」と、私の好物までも用意してくれようとしていた。
私の心がぐらついた瞬間だった。
誰かが自分の好きな食べ物を訊ねてくれる。
自分の夫や子供、あるいは好きな相手にしかこんな事訊ねないだろ?と思ってしまった。
私は「さくらの作った卵焼きが食べたい」とリクエストを出した。と同時に、ツイッターのダイレクトメッセージで姫予約をして彼女と一緒にお昼ご飯を食べる約束をした。
この時の私は、さくらと言う沼にハマってしまっていた。
そして予約していた当日のお昼過ぎに、さくらのいる部屋へ遊びに行った。いつもと同じ部屋で代り映えの無い風景だったけど、さくらと一緒にピクニックにでも行ったような気持ちを味わう事ができた。
私は性欲ではなく、“誰かに必要とされる感覚”に救われていたのかもしれない
部屋の中で、さくらの作ってくれたお弁当を一緒に食べている時間は、不思議とソープランドに居ることを忘れさせた。
目の前には、私の好きな卵焼きが入っているお弁当がある。ただそれだけのことなのに、胸の奥がじんわり温かくなるような感覚があった。
今思えば、私は性欲だけでさくらを指名していたわけではなかったのだと思う。
誰かが自分の好きな食べ物を聞いてくれること。
誰かが自分の為に料理を作ってくれること。
誰かが旅行先で、自分の顔を思い浮かべながらお土産を選んでくれること。
そんな当たり前のようで、自分の人生にはほとんど存在しなかった時間に、私は強く惹かれていたのだ。
もちろん、さくらにとって私はお客さんだった。
お弁当も、お土産も、優しさも、すべて仕事の一部だったのかもしれない。
それでも私は嬉しかった。
現実では誰からも必要とされていないと思っていた人間にとって、「あなたのことを考えているよ」と感じられる時間は、それだけで救いになることがある。
だから私は、さくらとの時間にハマっていったのだと思う。
人は身体だけではなく、こういう小さな優しさや、誰かと一緒に過ごす日常に惹かれていくものなのかもしれない。



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