「帰りたくない!もっと一緒に居たい!」
女性にこんな風に甘えられたら、あなたはどう感じるだろうか。
嬉しい?
「お持ち帰り確定だ」と喜ぶだろうか?
だが、その言葉が、場合によっては“恐怖”に変わる瞬間がある。
今回の話は、PCMAXで出会ったシングルマザーとの、一泊二日の出来事だ。
最初は、ただの「出会い系成功体験」になると思っていた。
だが実際には、私は彼女の“孤独”に飲み込まれそうになっていた。
「今日、会えませんか?」から始まった急展開
出会い系って、マジで出会えねぇよな……。
援デリ業者ばかりで、なんで普通の女性と会えないんだよ。そう思っていたある日、「初めまして。よろしくお願いします。」という一言だけのメッセージが届いた。
なんだこのメッセージ?と思ったものの、相手がどんな女性なのか気になってプロフィールを見に行くことにした。
すると、その女性は「ランチやディナーに行きませんか?」という掲示板募集をしていて、プロフィールも普通の一般女性っぽい雰囲気だった。
そこで私は、「どんなジャンルのお店が好きなんですか?」と探りを入れてみた。
すると、「洋食が好きです😊」という返事が返ってきた。
エビフライやスイーツの話で盛り上がり、「あれ?この人、普通に会話できるぞ?」と思い始めた翌日だった。
「今日、会えませんか?」
……え?
私は、一瞬意味が分からなかった。
正直、私はもっと段階を踏むものだと思っていた。
数日メッセージをして、LINEを交換して、ランチの約束をして──そういう流れを想像していたのだ。
ところが彼女は、その“距離感を縮める段階”を一気にショートカットしてきた。
しかも、待ち合わせ場所の住所に加えて、電話番号まで送ってきている。
いや、ちょっと待て。
普通、こんなに無防備なことあるか?
それとも逆に、無防備を装って安心させ、金でも巻き上げるつもりなんじゃないか?
私は瞬時に、「これ、まさか詐欺では?」と疑ってしまった。
というのも、少し前に、弟が出会い系サイトで知り合った女に「治療費が必要」と言われ、35万円を要求されるトラブルに巻き込まれていたからだ。
最終的に弟は、「兄貴、35万円貸してくれ」と私に泣きついてきた。(この件については気が向けば記事化するかも)
だから私は、電話番号を簡単に交換することにも強い警戒心を持っていた。
援デリ業者なら、「はいはい」で済む。
だが、彼女はそういう感じでもない。
金銭目的にも見えない。
なのに、なぜここまで急接近してくるのか。
「今日会えませんか?」
その一言が、嬉しさより先に、私の警戒心を刺激していた。
実際に会った彼女は、写真より疲れて見えた
指定された待ち合わせ場所の公園で待っていると、彼女から電話がかかってきた。
「今どこに居ますか?」
「公園にいます」
「今、公園に着きました。俺さん、初めまして😊」
そう言って電話が切れた直後、公園の入口から一人の女性が入ってきた。
私はその女性を見た瞬間、「あれ?」と感じた。
写真で見た彼女とは、まるで別人のように見えたのだ。
髪はぼさっと乱れ、前髪付近は少しべたついて見える。
服装も、「男性に会うために来ました」という感じではない。
部屋着のまま、ふらっと外に出てきたような、妙な生活感があった。
上着には薄い汚れのようなものも見えた。
もちろん、極端に不潔というわけではない。
だが、そこには「女性として魅せたい」という空気よりも、
“とにかく家から出たかった”
そんな疲労感のようなものが漂っていた。
私は、その時点で少しだけ違和感を覚えていた。
だが、お互いもう顔を合わせてしまっている。
とりあえず、近くの居酒屋へ向かうことになった。
その途中、彼女が「コンビニ寄っていい?」と言った。
私は軽く「いいですよ」と返した。
すると彼女は、慣れた様子でタバコを2箱とライターを手に取り、そのまま私の方を見た。
私は特に断る理由も見つからず、そのまま会計を済ませた。
もちろん、「初回デート代は男性が払う」とプロフィールにも書いていた。
だから払うこと自体に抵抗はなかった。
だが、レジを離れた後、私は心のどこかで少しだけ引っかかっていた。
――これ、デート代か?
一緒に食べる食事代なら分かる。
だが、タバコ2箱とライターは、“二人の時間”というより、彼女個人の生活用品だった。
その時の私はまだ、「まぁ、これくらいなら……」と思おうとしていた。
だが今振り返ると、あの瞬間から少しずつ、彼女の“生活”がこちら側へ入り込み始めていたのかもしれない。
居酒屋、公園、そして「帰りたくない」
近くの居酒屋へ入り、軽く食事をすることになった。
だが、思っていたほど会話は盛り上がらなかった。
沈黙。
焼き鳥を食べる音。
グラスを置く音。
すぐ隣の席では、別の客たちがホルムズ海峡だの韓国情勢だのを熱く語り合っている。
それに比べ、こちらは妙に静かだった。
私は心の中で、
「この二人、第三者から見たらどういう関係に見えてるんだろうな……」
などと考えていた。
そして、料理を食べ終わりかけた頃だった。
彼女がふいに、こんなことを聞いてきた。
「俺さんって、どんな女性がタイプなんですか?」
私は少し考えた後、こう答えた。
「自分を好きでいてくれる女性ですね」
昔の私は、自分が好きになった女性ばかり追いかけていた。
だが、それではうまくいかなかった。
だから今は、“自分を好いてくれる人”を大切にしたいと思うようになっていた。
彼女は、私のその答えを聞いて、小さく頷いていた。
居酒屋を出た後、私たちは最初に待ち合わせした公園へ戻った。
私は、この流れなら自然に解散だろうと思っていた。
だから、
「今日はこれくらいで解散にしますか?」
そう声をかけた。
すると彼女は、少し間を置いてから、甘えるようにこう言った。
「帰りたくない……もっと一緒に居たい」
私は、その言葉を聞いた瞬間、少し戸惑った。
嬉しい、という感情もあった。
だがそれ以上に、
“拒絶されたくない”
そんな空気を、彼女から強く感じたのだ。
近くにホテルはない。
私は車も持っていない。
彼女は「歩くのは嫌」と言う。
結局、タクシーを呼び、私たちはホテルへ向かうことになった。
彼女が求めていたのは、セックスではなく“避難場所”だった
タクシーのシートに深く身体を沈めた彼女は、窓の外を流れる夜景を、ただぼんやりと見つめていた。
車内には、妙に重たい沈黙が流れていた。
私はその空気に、少しずつ違和感を覚え始めていた。
ホテルにチェックインし、部屋の扉が閉まった瞬間だった。
彼女は、小さく息を吐いた。
まるで、ずっと張り詰めていた糸が切れたかのような表情だった。
その顔を見た時、私はなんとなく察してしまった。
彼女が求めていたのは、男を誘惑するための恋愛でも、単純な性欲でもない。
“避難場所”だったのだ。
ベッドの端に腰掛けた彼女は、ぽつりぽつりと、自分の現実を話し始めた。
彼女は高校生の娘を持つシングルマザーだった。
だが、その家庭はすでに壊れかけていた。
娘との関係は冷え切り、家にいること自体が苦痛なのだという。
「家に帰りたくない」
彼女が何度も口にしていたその言葉は、ただの甘えではなかった。
そこには、現実から逃げたいという切実さが滲んでいた。
私はそれまで、出会い系サイトというものを、「男が女を探す場所」だと思い込んでいた。
だが実際には違った。
そこには、日常という息苦しい場所から、一瞬でも逃げ出したい女性もいる。
孤独を抱えたまま、自分を一時的にでも受け止めてくれる誰かを探している人間が、確かに存在していたのだ。
彼女の乱れた髪。
部屋着のような服装。
疲れ切った表情。
そして、「もっと一緒に居たい」という言葉。
今思えば、そのすべてが、彼女の心が限界を迎えているサインだった。
ここで重要なのは、彼女が「男を喜ばせるため」に身体を差し出していたわけではない、ということだ。
彼女は、自分の孤独から逃げるために、人に寄りかかろうとしていた。
誰かの体温に触れている間だけでも、現実を忘れたかったのだと思う。
そして私は、そんな彼女に触れながら、不思議な感覚を覚えていた。
これは単なるセックスではない。
彼女は、自分の孤独ごと、私に預けようとしている。
そんな感覚だった。
同時に私自身も、
「誰かに必要とされている」
という感覚に、深く酔い始めていた。
彼女は、何度も「帰りたくない」と呟いた。
そのたびに、私は快感とは別の、説明しづらい怖さを感じていた。
もし、このまま彼女を受け入れ続けたら。
私は彼女の“避難場所”そのものになってしまうのではないか。
そんな予感が、頭の片隅に浮かび始めていた。
「今日も泊まりたい」「家に行きたい」で恐怖を感じた
朝になった。
昨夜は、彼女と何度も身体を重ねた。
正直、私はかなり満たされていた。
「女性に求められている」
そんな感覚に、どこか酔っていたのだと思う。
だが、その気持ちは、朝になると少しずつ別の感情へ変わり始める。
「そろそろ帰ろうか」
私がそう言うと、彼女はすぐにこう返した。
「帰りたくない! 今日も泊まりたい!」
最初は、甘えているだけだと思った。
だが、何度「今日は解散しよう」と伝えても、彼女は首を縦に振らない。
その時点で、私は少しずつ異様さを感じ始めていた。
彼女がシャワーを浴びている間、私はスマホで必死に検索していた。
「ホテルから帰りたがらない女性」
「出会い系 女 ホテル 帰りたがらない」
「ラブホテル 女を置いて帰りたい」
今思えば、かなり情けない検索履歴だと思う。
だが、その時の私は本気で困っていた。
昨夜は、「選ばれた」という高揚感があった。
だが朝になると、その感情は、
“この人、自分の居場所にしようとしているのではないか”
という怖さへ変わっていった。
さらに気になったのは、彼女の態度だった。
二人でホテルにいるのに、彼女は突然スマホで動画を見始めるのだ。
こちらに背中を向けたまま。
私は意味が分からなかった。
「一緒に居たい」と言っていたのに、なぜ会話をしないのか。
しかも彼女は、私が喫煙を苦手としているとプロフィールに書いているにも関わらず、何の断りもなくタバコを吸い始めた。
居酒屋でも同じだった。
「吸っていい?」の一言もない。
その瞬間、私は気付いてしまった。
彼女は、“私と向き合いたい”のではない。
ただ、“孤独を紛らわせる場所”が欲しいのだ。
だから相手がどう感じるかより、
「今、自分が安心できるか」
が優先されている。
それが分かった瞬間、私は急に怖くなった。
昼前になり、やっと彼女が服を着始めた。
私は心の中で、
「助かった……やっとホテルから出られる」
と安堵していた。
その後、彼女が好きだと言っていたエビフライを食べに、洋食屋へ向かった。
だが、そこでも会話は少なかった。
周囲の客たちが楽しそうに談笑する中、私たちだけが、どこか店の空気に馴染めていないように感じた。
食事を終え、私は再び言った。
「今日はこれで解散にしよう」
すると彼女は、また同じことを言った。
「今日も泊まりたい」
さらに、こう続けた。
「俺さんの家に行きたい」
私は耳を疑った。
ホテルが駄目なら、次は家。
その発想が、ごく自然に出てきたことに、私は強い恐怖を覚えた。
とっさに、
「弟と同居してるから無理だよ」
と断ると、彼女はしぶしぶ引き下がった。
だがその時、私ははっきり理解した。
これは単なる“お持ち帰り成功”なんかじゃない。
自分は今、一人の孤独な人間に、飲み込まれかけている。
そんな感覚だった。
なぜ彼女は俺を選んだのか?
私は、ずっと気になっていた。
なぜ彼女は、数いる男の中から私を選んだのか。
そもそも、どうやって私を見つけたのか。
ホテルで少し落ち着いたタイミングで、私は彼女に聞いてみた。
「どうやって俺を見つけたの?」
すると彼女は、
「検索で出てきた😊」
と、あっさり答えた。
だが、本当に知りたかったのはそこじゃない。
私はさらに聞いた。
「プロフィールの中で、何が気になったの?」
すると彼女は、少し考えてからこう言った。
「“誰かと共有する濃密な時間”ってところ」
「あと、“美味しいものには目がありません”ってところかな😊」
私は、その言葉を聞いて少し驚いた。
なぜなら、自分ではそこまで意識して書いていなかったからだ。
私のプロフィールには、年収も、車も、モテアピールも書いていない。
書いていたのは、
「誰かと濃密な時間を共有したい」
とか、
「美味しいものが好き」
とか、
そういう、“一緒に過ごす時間の空気”だった。
その時、私は初めて理解した。
出会い系のプロフィールは、スペックを書く場所じゃない。
「この人と一緒に居たら、どんな時間になるんだろう?」
それを想像させる場所なのだ。
特に、孤独を抱えた人ほど、
「安心できそう」
「穏やかに過ごせそう」
「自分を受け入れてくれそう」
そんな“空気”に強く反応する。
今までの私は、プロフィールなんて適当に書いていた。
だが今回の出来事で考え方が変わった。
出会い系で一般女性と出会いたいなら、
“自分がどんな時間を提供できる人間なのか”
を、言葉で表現する必要がある。
彼女は、私のスペックを見ていたわけじゃない。
「この人なら、今の孤独を少し忘れられるかもしれない」
そんな期待を、プロフィールの言葉から感じ取っていたのだと思う。
出会い系で異性を探しているのは、男だけじゃなかった
今回、彼女と出会って初めて知ったことがある。
出会い系サイトで異性を探しているのは、男だけじゃなかったということだ。
私はずっと、PCMAXのような場所は、
「男が女を探す場所」
だと思い込んでいた。
だが実際には違った。
そこには、家に居場所がない女性もいる。
孤独を抱え、現実から少しでも逃げたくて、誰かを探している人間がいる。
彼女は、娘との関係がうまくいっていなかった。
家に帰ること自体が苦痛だった。
だから彼女は、「男」を探していたというより、
“避難場所”
を探していたのだと思う。
そして私は、その避難場所として、一晩だけ彼女に選ばれた。
最初は、女性に求められていることが嬉しかった。
「選ばれた」
そんな感覚に、どこか酔っていた。
だが、一緒に時間を過ごすうちに、その感情は少しずつ変わっていった。
もし、あのまま二泊していたら。
もし、家に来ることを許していたら。
私はきっと、彼女の孤独に飲み込まれていた。
今回の出会いで私は、
「身体を重ねること」と、
「相手の人生を受け止めること」は、まったく別だということを知った。
そして同時に、
人は孤独になると、誰かの体温を“避難場所”として求めることがある。
そんな、人間の危うさも知ることになった。
PCMAXは、単なる性欲の市場じゃない。
孤独な人間たちが、一時的な居場所を探して流れ着く場所でもあったのだ。


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